高次脳機能障害(記憶・記銘力障害、遂行機能障害):5級2号(30代男性・大阪府)

高次脳機能障害(記憶・記銘力障害、遂行機能障害)により5級2号を認定。

⑴ 事故の概要と障害内容
  被害者(当時39歳)が原付バイクで通勤中、交差点に差しかかった際、左折した大型
 トラックに巻き込まれ、頭蓋骨骨折、外傷性くも膜下出血の傷害を負った。
  被害者は、公務員であり、役所での窓口サービスを担当していたが、来訪者の伝えた
 ことが覚えられない「記憶・記銘力障害」、長年、担当業務であった行政事務の手順が
 わからず、時間がかかってしまうなどの「遂行機能障害」が後遺症として残存した
 もの。

⑵ 立証上の問題点と着眼点
  入口要件となる意識障害は、JCSは初診時200、GCSは12であり、
 28日後に意識清明となり、要件はクリア。
  脳MRI(FRAIR)で、前頭前野周囲にびまん性萎縮を認める。
  要件は揃っているので、認定の鍵は、「神経心理学的検査」のオーダーによる
 障害度の立証と「日常生活状況報告」の充足性と考え、職場関係者からの聴取を中心に
 立証していくこととした。

⑶ 立証作業
 ア 神経心理学的検査
  ㋐ ウェクスラー成人記憶検査
    言語性記憶:41、視覚性記憶:54、注意・集中力:53、遅延再生:48
  ㋑ ウェクスラー成人知能検査
    言語性:68、動作性:81、全検査:70、作動記憶:55、処理速度:64
  ㋒ BADS (遂行機能障害症候群の行動評価)
    今回、初めて取り入れて頂いた検査でした。
    規則変換:6、行為計画:4、鍵探し:4、時間判断:5、動物園:3、
    6要素:4
    評価法:2は平均以下、3は境界域、6は障害あり
 イ 職場関係者から聴取
  聴取の対象としてピックアップさせていただいたのは、同じ係の上司、同僚、
 部下の3名。
  テーマや課題を与えず、公平な観点から客観的な業務上の支障を挙げて頂き、
 それを一つ一つ掘り下げていく質問形式での「日常生活状況報告書」を作成した。
  その結果、後遺障害等級認定の結果通知書にも職場の申告内容を重視され、
 特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」と判断されるに至った。   

⑷ 認定結果と感想
  神経心理学的検査は、形式的に流してはいけない。
  必ず、残存している症状にマッチした検査を探しだし、医師にオーダーすることが
 重要と考えます。
  職場にも何度も足を運び、お昼休みや終業後にお時間を頂いて、「日常生活状況
 報告書」の作成をお願いしました。
  この作業に手抜きは禁物です。
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