胸腹部臓器の多発損傷:併合8級(30代男性・福岡県)

胸腹部臓器の多発損傷において、併合8級を獲得した事例

⑴ 事故の概要と障害内容
  道路外施設から道路に進入した普通乗用車が、自動二輪車に衝突し、
 多発肋骨骨折、膵損傷、腎損傷の傷害を負い、上腹部痛や頻回の下痢が痺れが
 残存した。

⑵ 立証上の問題点と着眼点
  胸腹部臓器の立証上、大きな問題点は、労災補償の「障害認定必携」に示された
 検査と現在の臨床上の検査が乖離していることです。
  簡単に言いますと、認定に必要とされている検査は、治療においては使用されて
 おらず、既にどの検査会社においても行っていないことです。
  旧態依然とした認定基準を見直す必要があるのです。

⑶ 立証作業
  膵臓の障害を立証するには、「外分泌機能」と「内分泌機能」の障害を検査により、
 立証する必要があります。
  オーダーした検査は、脂肪便(常食摂取で1日の糞便中の脂肪が6g以上)、
 エラスターゼの異常低値、経口糖負荷試験、Cペプチド検査、腎臓のGFR検査です。
  さて、ここで大変なのは、脂肪便の検査です。
  既に、クライアント様は退院されておられたのですが、この検査では、最低3日間の
 全ての糞便を溜めて検査を行う必要があるのです。
  つまり、外出することもできず、便意をもよおせば、空き缶等に便を溜めたうえ、
 病院に持ち込むのです。
  クライアント様も病院側の理解と協力があってこそ、なし得る検査です。
  また、「障害認定必携」には、PFD試験や糞便中のキモトリプシン活性検査が必要
 と掲載しておりますが、現在では、日本国内のどの検査機関でも行われていない検査
 なのです。
  幸い、全ての検査結果で異常数値が見られ、難易度の高い検査を行った甲斐が
 ありました。

⑷ 認定結果と感想
  結果は、膵臓の機能に関し、「外分泌機能と内分泌機能の両方の障害が認められる
 もの」として9級が認定され、腎臓の機能に関し、「GFRの数値が90ml/分以下で
 ある」として、13級が認定され、2つを併合して、8級と認定されました。
  主治医と病理検査の技士の方のご理解とご協力、そして、クライアント様の諦めない
 姿勢を評価された事案と思います。
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