後遺障害認定の種類(前)

後遺障害とは

ここでは「後遺症」「後遺障害」の違いについて、わかりやすくお伝えいたします。
言葉は似ていても、内容は全く違ってきますので、おおまかでも知っておくとよいでしょう。

「後遺症」とは事故直後に現れた急性期症状(一定の期間現れた強い症状)が治った後に、残ってしまった症状のことです。

機能障害や神経障害などを指し、一般的に広く使われている言葉です。

一方、「後遺障害」とは交通事故によって受けた障害が、治療をしても回復する見込みがなく、仕事や日常生活において支障がある状態を言います。6ヶ月以上経過しても症状があり、治療を続けても改善しないことが医学的に認められると「症状固定」とみなされます。

投薬やリハビリで少しはよくなるけど、少し経つとまた痛みが生じるなど、一進一退を繰り返す状態です。

「後遺障害」は次のような条件に該当するもので、自賠責保険の制度上で使われる用語です。
  1. 交通事故によって受けた障害であること
  2. 医学的に回復の見込みがないこと(症状固定)
  3. 交通事故と固定障害の間に相応程度の因果関係があり、医学的に認められること この部分を証明するのが難しいところであり、立証を専門家が行ないます。
  4. 労働能力の喪失を伴うもの
  5. 自動車損害賠償法施工令の等級に該当するもの

  6. と定義されています。

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頭部・顔面・頸部の醜状障害

醜状障害の後遺障害について

醜状障害とは、外貌の醜状、上肢及び暇疵の露出面の醜状、その他の部位の醜状の4つがあり、下記のとおり自賠責の後遺障害等級認定では等級評価が別れている。
部位 障害の程度 等級
外観 女性の外貌に著しい醜状を残すもの  7級12号
女性の外貌に醜状を残すもの 12級15号
男性の外貌に著しい醜状を残すもの 12級14号
男性の外貌に醜状を残すもの 14級10号
上・下肢 上肢の露出面にててのひらの大きさの醜いあとを残すもの 14級4号
下肢の露出面にててのひらの大きさの醜いあとを残すもの 14級5号
■「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のごとく、上肢および下肢以外の日常露出する部分をいう。

■「著しい醜状を残すもの」とは、原則として
    ア.頭部にあっては、手のひら大(指の部分は含まない。以下同じ)
      以上の瘢痕または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
  1. イ.顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕、長さ5㎝以上の線状痕または10円銅貨以上の組織欠没
  2. ウ.頸部にあっては、手のひら大以上の瘢痕
のいずれかであって、人目につく程度以上のもの

■「醜状」とは
    ア.頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
  1. イ.顔面部にあっては、10円銅貨以上の瘢痕または長さ3㎝以上の線上痕
  2. ウ.頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕
のいずれかであって、人目につく程度以上のもの

■耳介および鼻の欠損障害
耳介軟骨部の2分の1以上の欠損は「著しい醜状」と扱われる。
耳介軟骨部の一部欠損は単なる「醜状」と扱われる。
鼻軟骨部の全部または大部分を欠損した場合は「著しい醜状」と扱われる。
鼻軟骨部の一部または鼻翼を欠損した場合は、単なる「醜状」とする。

■注意点
外貌醜上として後遺症認定されるものは、瘢痕、線状痕、組織陥没であっても、眉毛、頭髪などに隠れている部分については、醜状と認定しない。そのため、自賠責実務では被害者と面接し、醜状の実際を確認する。

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胸腹部臓器(生殖器を含む)の後遺障害

胸腹部臓器の後遺障害について

事故により、胸腹部の臓器の損傷がおきることは珍しくない。胸腹部の後遺障害等級認定表では、次のとおり等級が定められている。
等級 障害の程度
一般的な臓器障害 生殖器の障害
1級 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 両側の睾丸を
失ったもの
9級 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 生殖器に著しい
障害を残すもの
11級 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度に支障があるもの
13級 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
個別の等級認定では、【1】呼吸器、【2】循環器、【3】腹部臓器、【4】泌尿器に分けて個別の検討がなされ、これに【5】生殖器の検討が加わる。
各臓器の認定等級の基準については、平成18年に詳細な認定基準の改正がなされた。

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胸腹部の後遺障害の問題点

この分野では、詳細な認定基準がなかったため、機能障害の点に着目され、重度の障害でかなりの程度就労に差し支えるという心証がなければ、9級あるいは11級どまりとなる傾向があった。
詳細な等級認定基準が作成されたことで、今後はその認定基準に従って自賠責の等級認定が妥当か否かが争いにあるものと思われる。
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せき柱の後遺障害

せき柱の後遺障害について

せき柱とは、頭側から尾側の尾骨までの骨の連なりの柱です。頭側から頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個の合計24個の椎骨が椎間板を挟んで形成されていて、最後の第5腰椎の尾側には、仙骨と尾骨がついています。
(但し、後遺障害等級表上の「せき柱」の障害には、仙骨及び尾骨は含まれません。これは、せき柱は、頸部及び体幹の支持機能ないし保持機能及びその運動機能に着目したもので、仙骨及び尾骨はこれらの機能を有していないからです。なお、せき柱の運動障害については、腰仙関節の動きを含めて等級を認定する取扱です。)
せき柱の自賠責の後遺障害等級については、せき柱の変形障害と運動障害に着目して、次のとおり等級認定がなされています。

■変形障害
第6級5号:せき柱に著しい変形を残すもの
第8級2号:せき柱に中程度の変形を残すもの(但し、相当等級に該当するもの)
第11級7号:せき柱に変形を残すもの

■運動障害
第6級5号:せき柱に著しい運動障害を残すもの
第8級2号:せき柱に運動障害を残すもの 第8級の2

障害等級認定の基準

  1. せき柱の後遺障害等級認定の際の注意点
    障害等級の認定は、せき柱の持つ支持機能に着目しているため、頭部の支持機能を持つ頸椎と、体幹の支持機能を持つ胸腰椎は異なる部位として取り扱われ、それぞれの部位ごとに等級を認定されます。
  2. 変形障害
    せき柱の変形障害については、「せき柱に著しい変形を残すもの」(第6級5号)、「せき柱に中程度の変形を残すもの」(第8級相当)、「せき柱に変形を残すもの」(第11級7号)の3段階で認定されます。
    せき柱の変形の6級と8級は、せき柱の後彎の程度とコブ法(注1)による測彎の程度により認定され、これらに達しない変形で一定の要件をみたすものが11級に認定されます。せき柱の後彎の程度と測彎の程度により、6級で2種類、8級と11級でそれぞれ3種類の合計8種類のパターンに分けることが可能です。

    注1:コブ法とは、エックス線写真により、脊柱のカーブの頭側及び尾側においてそれぞれ水平面から最も傾いているせき椎を求め、頭側で最も傾いているせき椎の椎体上縁の延長線と尾側で最も傾いているせき椎の椎体の下縁の延長線が交わる角度(側彎度)を測定する方法である。

■変形障害の区分
せき柱の変形障害の等級と認定要件の関係は、下記の図(高野真人氏編集の「後遺障害等級認定と裁判実務」より引用)から、分かりやすく理解できます。
椎体高減少椎体個数 前方椎体高の減少の程度 測彎の程度
せき椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているもの 減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上であるものをいう 6級
せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少しているもの 減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50%以上であるものをいう コブ法による測彎度が50°以上となっているもの 6級
せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し後彎が生じているもの 減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの51%以上であるものをいう 8級
コブ法による測彎度が50°以上となっているもの 8級
環椎または軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む。)により、次のいずれかに該当するもの。
このうち、1及び2については、軸椎以下のせき注を稼働させずに(当該被災者にとって自然な肢位で)、回旋位または屈曲・親展位の角度を測定する。)
【1】60°以上の回旋位となっているもの
【2】50°以上の屈曲位または60°異様の伸展位となっているもの
【3】則屈位となっており、エックス線写真等により、矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30°以上の斜位とあっていることが確認できるもの
8級
せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真、CT画像またはMRI画像により確認できるもの(変形の度合いは問わない) 11級
せき椎固定術が行われたもの(移植した骨がいずれかのせき椎に吸収されたものを除く) 11級
3個以上のせき椎について、椎弓切除術(椎弓の一部を切離するせき柱間拡大術も含む。)等の椎弓形成術を受けたもの 11級
  1. せき柱の運動障害などについて
    せき柱の運動障害は、せき椎圧迫骨折、せき椎固定術など器質的変化が存在することを前提とします。せき柱の運動障害の等級と認定要件の関係は、下記の図(高野真人氏編集の「後遺障害等級認定と裁判実務」より引用)から、分かりやすく理解できます。
認定要件 等級
右のいずれかにより頸部および胸腰部が強直したもの 【1】頸椎および胸腰椎のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの 6級
【2】頸椎および胸腰椎のそれぞれにせ椎固定手術が行われたもの
【3】項背腰部軟部組織に明かな器質的変化が認められるもの
右のいずれかにより頸部( 主要運動のいずれか一方)または胸腰部の可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたもの 【1】頸椎および胸腰椎にせき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの 8級
【2】頸椎または胸腰椎に椎固定手術が行われたもの
【3】項背腰部軟部組織に明かな器質的変化が認められるもの
頭蓋・上位頸椎間に著しい異常可動性が生じたもの
エックス線写真等では、せき椎圧迫骨折等またはせき椎固定術が認められず、また、項背部の器室的変化も認められず、単に、疼痛のために運動障害を残すものは局部の神経症状として等級を認定すること
頸部
主要運動 参考運動
屈曲・伸展 回旋 側屈
参考可動域角度
110°
参考可能域角度
120°
参考可能域角度
100°
屈曲 伸展 左回旋 右回旋 右側屈 左側屈
60° 50° 60° 60° 50° 50°
胸腰部
主要運動 参考運動
屈曲・伸展 回旋 側屈
参考可動域角度
75°
参考可能域角度
80°
参考可能域角度
100°
屈曲 伸展 左回旋 右回旋 右側屈 左側屈
45° 30° 40° 40° 50° 50°
「強直」とは、関節の完全強直またはこれに近い状態の事を指し、「これに近い状態」とは、せき柱においては、主要運動のすべてが参考可動域角度の10%程度以下に制限されるものをいう。

せき柱の後遺障害の問題点

せき柱の後遺障害については、後遺障害の有無・程度、労働能力の喪失率について争われる事が多いです。
  1. 後遺障害の有無・程度
    裁判においては障害認定基準に基づき等級評価を行っている例が多いです。例えば、運動制限の主張があっても、せき柱などについて器質的変化がなければ、等級認定は否定されます。
    変形や運動障害の原因(器質的変化)の有無が争いとなる例も多いです。

  2. ■争いの例

    ○圧迫骨折の画像が明白でない場合
    ○圧迫骨折の画像所見があっても、交通事故に起因するものか(従前のもの、あるいは事後後のものなど)明白でない場合
    ○せき柱の可動域制限について医師の検査の信用性が争いとなる場合
    ○せき柱の固定術の妥当性が争われる例
    ○せき柱の後遺障害か神経障害かが争われる例

  3. 労働能力喪失率
    自賠責認定基準によると後遺障害等級6級の労働能力喪失率は67%、同第8級の場合は45%、同第11級の場合は20%ですが、現実にはそのような労働能力の喪失は認められないとして争われるケースが多いです。
    せき椎固定術後の変形障害(11級、喪失率20%)について、せき柱の運動制限がなく労働能力の喪失はほとんどないが、せき柱の変形に伴って残存する痛みや疲れやすさを考慮して、局所の神経障害(12級、喪失率14%)を準用した判例。
    せき柱の変形(11級)について、胸部や腰部の鈍痛が認められるが、それだけでは労働能力の喪失が認められないと主張された事案で、せき椎の人体における重要性や痛みの程度の複雑性等から労働能力の喪失率を14%と認定した判例。

その他の体幹骨の後遺障害

その他の体幹骨の後遺障害について

その他の体幹骨とは「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨、又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」であり、それらに著しい変形が認められるを残すものは、自賠責等級の第12級5号となる。
仙骨および尾骨は、「脊柱」と「骨盤骨」の両方を形成しているが、本後遺障害では、「仙骨」のみが「骨盤骨」として後遺障害の対象となる。

■「著しい変形を残すもの」とは、裸体になったときに、変形や欠損が明らかに分かる程度のものである。
治療のための採骨による変形の場合も同様の基準による。

■併合等の関係

[併合できる場合]
  1. その他の体幹骨の2カ所以上に著しい変形がある場合には、異なる部位に複数の障害があっても、同一系列に属する障害であるから併合等をせず、自賠法施工例別表第2備考6を適用して、1級繰り上げて、11級相当とする。但し箇所が増えても11級相当を超えることはできない。
  2. 脊柱の変形障害または運動障害とその他の体幹骨の変形障害が生じた場合。
  3. 骨骨盤に行動の変形(12級5号)が生じてため、股関節が転位して運動障害(12級7号)が生じた場合、併合して第11級となる。
  4. 鎖骨に著しい変形(12級5号)を残し、肩関節にも運動障害(12級6号)が残った場合は11級となる。
  5. その他の体幹骨の2カ所以上に著しい変形があって、同時に上肢または下肢の長管骨に変形を残した場合、別表第2備考6を適用して11級相当とし、これと系列のことなる長管骨の変形(12級8号)を併合して10級相当とする。

[併合できない場合]
  1. 通常派生する関係にあるもの
    その他の体幹骨に変形を残すと、その部位に局部的な神経症状(12級13号)が派生することがある。このように1つの後遺障害に、通常派生的に現れる2つ上の異なる後遺障害が存在する場合には、併合をせず、いずれか上位等級の後遺障害の等級とする。
  2. 複数の系列で評価可能なもの
    骨盤骨の変形によって、下肢そのものには何の異常も認められないが、下肢を短縮したのと同じような障害(13級8号、10級8号、8級5号)が残った場合には併合できず、いずれか重い方の後遺障害の等級を適用する。

その他の体幹骨の後遺障害の問題点

その他の体幹骨の場合、労働能力喪失の有無や程度について争いになることが多い。 ちなみに12級の場合の労働能力喪失率は14パーセントである。 判例は、自賠責の等級認定の労働能力喪失率をそのまま用いることはなく実態に即して、各事案ごとに労働能力喪失率を検討する。

上肢及び手指の後遺障害

上肢及び手指の後遺障害について

■上肢の障害
障害の種類 障害の程度 等級
欠損障害 両上肢をひじ関節以上で失ったもの 1級3号
両上肢を手関節以上で失ったもの 2級3号
1上肢をひじ関節以上で失ったもの 4級4号
1上肢を手関節以上で失ったもの 5級4号
機能障害 両上肢の用を全廃したもの 1級4号
1上肢の用の全廃したもの 5級6号
1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 6級6号
1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 8級6号
1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 10級10号
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 12級6号
変形障害 1上肢に仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの 7級9号
1上肢に偽関節を残すもの 8級8号
長管骨に変形を残すもの 12級8号
■手指の障害
障害の種類 障害の程度 等級
欠損障害 両手の手指の全部を失ったもの 3級5号
1手の5の手指又は母指を含み4の手指を失ったもの 6級7号
1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指を失ったもの 7級6号
1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指を失ったもの 8級3号
1手の母指又は母指以外の2の手指を失ったもの 9級8号
1手の示指、中指又は環指を失ったもの 11級6号
1手の小指を失ったもの 12級の8の2
1手の母指の指骨の一部を失ったもの 13級5号
1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 14級6号
機能障害 両手の手指の全部の用を廃したもの 4級6号
1手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの 7級7号
1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの 8級4号
1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの 9級9号
1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの 10級6号
1手の示指、中指又は環指の用を廃したもの 12級9号
1手の小指の用を廃したもの 13級4号
1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 14級7号
骨折部にキュンチャーを装着し、あるいは金属釘を用いたため、それが機能障害の原因となる場合は、当該キュンチャー等の除去を待って等級の認定を行うこと。
なお、当該キュンチャー等が機能障害の原因とならない場合は、創面治ゆをもって等級の認定を行うこと。
また、廃用性の機能障害(たとえば、ギプスによって患部を固定していたために、治ゆ後に関節に機能障害を存するもの)については、将来における障害の程度の軽減を考慮し等級の認定を行うこと。
上肢及び手指の運動機能の評価及び測定については、以下によるほか、別添によること。

後遺障害等級の認定の基準について

■上肢の障害
  1. 欠損障害

    ア.「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
    (ア)肩関節において、肩甲骨と上腕骨を離断したもの
    (イ)肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
    (ウ)ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの

    イ.「上肢を手関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
    (ア)ひじ関節と手関節の間において上肢を切断したもの
    (イ)手関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

  2. 機能障害

    ア.「上肢の用を廃したもの」とは、3大関節(肩関節、ひじ関節及び手関節)のすべてが強直し、かつ、手指の全部の用を廃したものをいう。上腕神経叢の完全麻痺もこれに含まれる。

    イ.「関節の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
    (ア)関節が強直したもの
    ただし、肩関節にあっては、肩甲上腕関節がゆ合し骨性強直していることがエックス線写真により確認できるものを含む。
    注肩関節は、肩甲上腕関節が強直しても、肩甲骨が胸郭の上を動くことによりある程度屈曲又は外転が可能であるため、別添に基づく肩関節の可動域の測定結果にかかわらず、上記のとおり取り扱うものであること。

    (イ)関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの
    「これに近い状態」とは、他動では可動するものの、自動運動では関節の可動域が健側の可動域角度の10%程度以下となったものをいう。この場合の「10%程度以下」とは、別添の第1の2の(1)の「関節の強直」の場合と同様に判断すること。

    (ウ)人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

    ウ.「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
    (ア)関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
    (イ)人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節のうち、上記2の(3)以外のもの

    エ.「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されているものをいう。

変形障害

ア.「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当し、常に硬性補装具を必要とするものをいう。
  1. (ア)上腕骨の骨幹部又は骨幹端部(以下「骨幹部等」という。)にゆ合不全を残すもの
  2. (イ)橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
イ.「偽関節を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
  1. (ア)上腕骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記アの(ア)以外のもの
  2. (イ)橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記アの(イ)以外のもの
  3. (ウ)橈骨又は尺骨のいずれか一方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、
       時々硬性補装具を必要とするもの

    注:偽関節とは、一般に、骨折等による骨片間のゆ合機転が止まって異常可動を示すものをいう。
    しかしながら、近年においては、例えば、回内・回外運動の改善や手関節の安定を図るため、尺骨の一部を切り離し、尺骨の遠位端を橈骨に固定したり、切離した骨を尺骨の遠位端及び橈骨に固定する「カパンジー法」と呼ばれる手術が行われており、これらについても、従来の認定基準では、障害の改善を図る手術であるにもかかわらず、手術後は、より重度の障害である「偽関節を残すもの」に該当するものとなっていた。このため、本認定基準においては、カパンジー法による尺骨の一部離断を含め、骨片間のゆ合機転が止まって異常可動を示す状態を「ゆ合不全」とした上で、長管骨の保持性や支持性への影響の程度に応じて等級を認定することとしたものである。

ウ.上肢の「長管骨に変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
なお、同一の長管骨に以下の(ア)から(カ)の障害を複数残す場合でも、第12級の8と認定すること。
  1. (ア)次のいずれかに該当する場合であって、外部から想見できる程度(15度以上屈曲して不正ゆ合したもの)以上のもの

    a.上腕骨に変形を残すもの
    b.橈骨及び尺骨の両方に変形を残すもの(ただし、橈骨又は尺骨のいずれか一方のみの変形であっても、その程度が著しいものはこれに該当する。)

  2. (イ)上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部にゆ合不全を残すもの

  3. (ウ)橈骨又は尺骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、硬性補装具を必要としないもの

  4. (エ)上腕骨、橈骨又は尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの

  5. (オ)上腕骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に、又は橈骨若しくは尺骨(それぞれの骨端部を除く)の直径が1/2以下に減少したもの

  6. (カ)上腕骨が50度以上外旋又は内旋変形ゆ合しているもの
    この場合、50度以上回旋変形ゆ合していることは、次のいずれにも該当することを確認することによって判定すること。

    a.外旋変形ゆ合にあっては肩関節の内旋が50度を超えて可動できないこと、また、内旋変形ゆ合にあっては肩関節の外旋が10度を超えて可動できないこと
    b.エックス線写真等により、上腕骨骨幹部の骨折部に回旋変形ゆ合が明らかに認められること

    注.上腕骨に一定以上の回旋変形ゆ合が存する場合には、自然肢位からひじ関節90度で、正面から両上肢(両上腕骨の全長)を撮影したエックス線写真等により、左右の上腕骨の骨頭及び頸部が異なる形状となっていることが確認できる。
    なお、長管骨の骨折部が良方向に短縮なくゆ着している場合は、たとえ、その部位に肥厚が生じていても長管骨の変形としては取り扱わないこと。

手指の障害

  1. 欠損障害

    ア.「手指を失ったものとは、母指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を失ったもの」(障害等級表の備考第2号)とされており、具体的には、次の場合がこれに該当するものであること。 (ア)手指を中手骨又は基節骨で切断したもの
    (イ)近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)において、基節骨と中節骨とを離断したもの

    イ.「指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失っている(遊離骨片の状態を含む)ことがエックス線写真等により確認できるものをいう(後記(2)のアに該当するものを除く。)

  2. 機能障害

    ア.「手指の用を廃したものとは、手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)に著しい運動障害を残すもの」(障害等級表の備考第3号)とされており、具体的には、次の場合がこれに該当するものであること。 (ア)手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

    (イ)中手指節関節又は近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの

    (ウ)母指については、橈側外転又は掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限されているものも、「著しい運動障害を残すもの」に準じて取り扱うこと

    (エ)手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したものも、「手指の用を廃したもの」に準じて取り扱うこと
    このことは、医学的に当該部位を支配する感覚神経が断裂し得ると判断される外傷を負った事実を確認するとともに、筋電計を用いた感覚神経伝道速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されないことを確認することによって認定すること。
    注 感覚の完全脱失とは、表在感覚のみならず深部感覚をも消失したものをいう。
    表在感覚のみならず、深部感覚をも完全に脱失するのは、外傷により感覚神経が断裂した場合に限られる。

    イ.「遠位指節間関節を屈伸することができないもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。 (ア)遠位指節間関節が強直したもの
    (イ)屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって、自動で屈伸ができないもの又はこれに近い状態にあるもの

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