後遺障害認定の種類(頭部)

後遺障害とは

ここでは「後遺症」「後遺障害」の違いについて、わかりやすくお伝えいたします。
言葉は似ていても、内容は全く違ってきますので、おおまかでも知っておくとよいでしょう。

「後遺症」とは事故直後に現れた急性期症状(一定の期間現れた強い症状)が治った後に、残ってしまった症状のことです。

機能障害や神経障害などを指し、一般的に広く使われている言葉です。

一方、「後遺障害」とは交通事故によって受けた障害が、治療をしても回復する見込みがなく、仕事や日常生活において支障がある状態を言います。6ヶ月以上経過しても症状があり、治療を続けても改善しないことが医学的に認められると「症状固定」とみなされます。

投薬やリハビリで少しはよくなるけど、少し経つとまた痛みが生じるなど、一進一退を繰り返す状態です。

「後遺障害」は次のような条件に該当するもので、自賠責保険の制度上で使われる用語です。
  1. 交通事故によって受けた障害であること
  2. 医学的に回復の見込みがないこと(症状固定)
  3. 交通事故と固定障害の間に相応程度の因果関係があり、医学的に認められること この部分を証明するのが難しいところであり、立証を専門家が行ないます
  4. 労働能力の喪失を伴うもの
  5. 自動車損害賠償法施工令の等級に該当するもの と定義されています。

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外傷性てんかんの後遺障害

外傷性てんかんの後遺障害等級

外傷性てんかんの後遺障害等級は、神経系統の障害に分類され、具体的には下記「」内の症状が該当します。
外傷性てんかんの後遺障害
5級1の2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

「1か月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が意識障害の有無を問わず転倒する発作または意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作であるもの」

7級3号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

「転倒する発作等が数か月に1回以上あるものまたは転倒する発作以外の発作が1か月に1回以上あるもの」

9級7の2号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されているもの

「転倒する発作等が数か月に1回以上あるものまたは転倒する発作以外の発作が1か月に2回以上あるもの」

12級12号 局部に頑固な神経症状を残すもの

「発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの」

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外傷性てんかんの後遺障害のポイント

労災事故により、脳挫傷や頭蓋骨陥没骨折などの頭部外傷後、外傷性てんかんの後遺障害が発生することがあります。 てんかんの後遺障害等級は、発作の型、回数により定型的に認定されます。 また、てんかんが事故によって発症したこと(因果関係)を証明できなければなりません。 一般的には以下の条件に該当することが必要です。
  1. 発作がまさしくてんかん発作であること
  2. 労災事故による受傷前にてんかん発作はなかったこと
  3. 外傷は脳損傷を起こすのに十分な程度の強さであったこと
  4. 労災事故による受傷後初めてのてんかん発作が、外傷後あまり経過していない時期に起こったこと
  5. ほかにてんかん発作を起こすような脳や全身疾患を有していないこと
  6. てんかんの発作型、脳波所見が脳損傷部位と一致していること

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高次脳機能障害

高次脳機能障害に対する当事務所の対応

高次脳機能障害は、見た目の外傷ではなく、性格の変化や記憶低下等の認知障害として発症するため本人や周囲が見落としがちです。もし、交通事故後に高次脳機能障害の可能性がある場合には、早急に専門医を受診し、画像検査などを受けて下さい。

高次脳機能障害は、交通事故の分野でも専門分野とされており、下記に記載のような専門的知識が必要な分野です。当法律事務所は、可能な限り、高次脳機能障害の後遺障害等級の認定の段階からお手伝いさせて頂きます。また訴訟では、因果関係、素因減額、将来介護費用、逸失利益、後遺症慰藉料、近親者慰謝料という経済的被害及び精神的被害まで緻密で丁寧な立証が必要な分野ですので、高次脳機能障害について該当すると思われる方は、是非、ご相談下さい。

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高次脳機能障害とは

高次脳機能障害
交通事故により脳に衝撃を受け、意識障害をおこし、脳に損傷(脳室拡大や縮小など)を受け、その後遺症として生じた認知障害(記憶力や注意力の障害・社会的行動の障害)や人格変化などを伴う状態の事です。

■主な症状
新しいことが出来ない、周囲にあわせた行動が出来ない、複数の事を処理できない、物事を忘れやすい、記憶を思い出せない、これまでと人柄が変わった(興奮しやすい、落ち込みやすい、幼稚、多弁、羞恥心の低下、妬み、被害妄想など、新聞を読まない、興味が薄れた)などの症状があります。

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高次脳機能障害と自賠責後遺障害等級

高次脳機能障害は自賠責保険においては、「神経系統の機能又は精神に著しい障害」に該当し、症状に応じて以下のとおりの等級に該当します(2009年度の基準)。
  1. 1級1号(要介護)
    [障害認定基準]
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」

    [補足的な考え方]
    身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの
  2. 2級1号(要介護)
    [障害認定基準]
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」

    [補足的な考え方]
    著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲な自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
  3. 3級3号
    [認定基準]
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」

    [補足的な考え方]
    自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、 介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
  4. 5級2号
    [認定基準]
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

    [補足的な考え方]
    単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
  5. 7級4号
    [認定基準]
    「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

    [補足的な考え方]
    一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
  6. 9級10号
    [認定基準]
    「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」

    [補足的な考え方]
    一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

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高次脳機能障害の症状固定時期

高次脳機能障害の症状固定時期は、一般的には後遺障害診断書に記載された症状固定日といえます。症状との関係でいえば、高次脳機能障害であっても、2年程度は回復の見込みがあるため、事故日から2年程度を目安に症状固定になると考えられます。

■小児(乳幼児)の場合
発達途中の小児の場合、脳の回復力や周囲の環境から受ける影響が大きいため、「小児では、乳児は幼稚園まで、幼児は就学時まで、等級評価を行わないことが妥当と考える」と自賠責では報告されています。

■高齢者の場合
高齢者の場合、加齢性による脳障害が併発しやすいことから、高齢者の脳高次機能障害の症状固定の日は「症状固定後一定期間が経過し、状態が安定した時点の障害程度をもって障害固定とし、障害等級の認定を行うものとする」と自賠責では報告されています。

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高次脳機能障害の自賠責認定のポイント

高次脳機能障害は、脳の器室的損傷によるものであるため、自賠責の等級認定においては、脳の器室的損傷の有無を確認されます。同様の症状であっても脳損傷が認められない場合は、非器室性の精神障害に関する等級認定が行われます。等級の程度については、高次脳機能を4つの能力に分類し、それぞれの喪失の程度を検討して等級を認定し、さらに高次脳機能障害以外の精神・神経系統の障害が併存する場合は、それも総合的に評価して後遺障害等級認定を行われます。
以下は自賠責における等級認定の流れである。
  1. 書面調査
    自賠責では、高次脳機能障害のおそれがある場合には、下記書類を送付し、その回答をもって一時的審査が行われます。

    「頭部外傷後の意識障害についての所見」(医療機関が記載)
    「脳外傷による精神症状等についての具体的な所見」(医療機関が記載)
    「日常生活状況報告表」(患者家族が記載)

    (注意) 患者の家族としては、「日常生活状況報告書」には「できる どうにかできる できない」について単純に回答をするだけでなく、具体的詳細に被害者の状況を記載するのが好ましい。
  2. 高次脳機能障害専門部会の審査
    上記審査の次に高次脳機能検査の審査においては、(1)意識障害の有無とその程度、(2)画像所見として、急性期における脳内出血の有無、(3)脳室拡大、縮小の有無、(4)家族や介護者、周囲者などの観察、等が重要なポイントとなります。

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事故による意識障害の程度と期間

臨床上、脳外傷による高次脳機能障害は、事故直後ないし事故後しばらくして意識障害が発生するため、判定基準の一つとされています。意識障害の程度については、「半昏睡以上の意識障害(注1:刺激により開眼をしない程度の意識障害)が6時間以上続くか、または軽症意識障害(注2:「刺激すると覚醒する状態」ないし「刺激しないでも覚醒している状態」)が1週間持続する状態。但し、高齢者はこれより短時間でも許容される。
注1:JCSで3桁かまたは、GCSで8点以下であること。
注2:JCSが2桁から1桁または、GCSが13点~14点であること。
JCS(ジャパンコーマスケール)による重症度の分類
Ⅲ、刺激に対して覚醒しない 300 痛み刺激に反応しない。
200 痛み刺激に反応して手足を動かしたり、顔をしかめたりする。
100 痛み刺激に対して払いのける運動をする。
Ⅱ、刺激がなくなると眠り込む 30 呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する。
20 簡単な命令に応じる。
10 合目的な運動をするし、言葉も出るが間違いが多い。
Ⅰ、刺激がなくても覚醒している 3 自分の名前、生年月日が言えない。
2 見当障害がある。
1 清明とは言えない。
0 清明。
注意2:GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)による重症度の分類
開眼、運動反応、言語性反応の各点数を合計して意識レベルを図る方法
開眼 自発的 4
言葉による 3
痛み刺激による 2
なし 1
命令に従う 6
運動反応 はらいのける 5
逃避的屈曲 4
異常な屈曲 3
伸展する 2
なし 1
言語性反応 見識等あり 5
錯乱状態 4
不適当 3
理解できない 2
なし 1
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急性期における脳内出血の有無

外傷性の高次脳機能障害は、脳の器室的損傷によります。脳の器室的損には一時性損傷(事故による外からの力で脳に直接の損傷がおきること)と二次性損傷(頭蓋内に出血が生じることで脳が圧迫されて出血すること。)があり、いずれも後遺障害が残存する原因となる。事故後の急性期においては、脳内に出血(例、点状出血、脳室内出血、くも膜下出血など)が確認される場合には、相当程度の軸索損傷が発生していることが推測されるため、判定基準の要素とされています。

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脳室拡大・萎縮

外傷後、数ヶ月以内に限局性または、びまんせい性の脳萎縮または脳室拡大が認められる場合は、外傷性高次脳機能障害が疑われるため、判定基準の要素とされています。

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家族や介護者、周囲者の観察

事故後に認知障害(記憶力や注意力や社会的行動障害)や人格変化が認められる場合は外傷性高次脳機能障害の疑いがあるがため、判定要素の一つとされています。なお、事故後から2年位までは回復されると考えられており、症状の経過も判定要素の一つとされます。

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高次脳機能障害の画像所見

高次脳機能障害の脳の態様は、交通事故の受傷日から急性期にかけて大きく変化し、その後の3ヶ月程度は緩やかに変化し安定期に入るのが一般的である。脳損傷の種類としては、局所性損傷とびまん性軸索損傷がある。

局所性損傷
局所性損傷は、損傷部位とそれによる障害との間の関連性が判明していることが多いことから、症状に対応する部位に損傷があるかを画像から確認しやすいです。

びまん性軸策損傷
軸策が損傷した場合、脳室内出血やくも膜下出血を伴いやすく、当該部位に点状出血が生じる場合があります。また受傷から3ヶ月目までは脳室拡大や脳萎縮が認められます。

(注意点)
交通事故による外傷性脳高次機能障害の実際の事案においては、画像資料から明かな点状出血や、脳室拡大や脳萎縮などが画像所見で確認されないケースがある。このような場合には、他の判断基準を用いながら、事故と障害との因果関係を認定することになるが、早期に画像所見を取得しておくのが好ましいです。 事故直後は、CTをとるのが一般的であるが、頭を打った場合は早期にそして定期的にMRIをとっておくことが重要です。

なお、当初はCTの画像所見しかなかった場合は、後日にMRIで画像の異常所見や、脳組織の血流量を測定する核医学検査であるSPECT、PET(前者はガンマ線を、後者は陽電子、ポジトロンを用いる)で脳血流の低下や脳代謝の異常などが認められることがあり、高次脳機能障害がおきていることを把握することができることもあります。

CT:エックス線を照射して得られる断層写真で骨などの硬部の組織を見るのに適している。
MRI:磁場においた被験者にラジオ波を加え、体内の原子核からくる反響の強弱を画像化したもので、水分の多い軟部の組織を見るのに適している。

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高次脳機能障害の認知障害に対する検査

高次脳機能障害の被害者の内面的変化に対する検査に対する検査としては、認知障害に対するものとして、次のような検査があります。
  1. 知能に対する検査(ウェクスラー成人知能検査、ウェクスラー児童用知能検査など)
    知能テストは、知識や記憶や計算のテストである。
  2. 言語機能に関する検査(標準失語症検査、WAB失語症検査など)
    失語症とは、獲得された言語能力が失われた症状のことであり、言語機能に関するテストはこの失語症の程度を図る検査である。
  3. 記憶に対する検査(日本版ウェクスラー記憶検査、三宅式記銘検査など)
    記憶に関する検査は、記憶の過程に異常がないか、記憶できる容量はどの程度かなどに関するテストである。
  4. 遂行(前頭葉)機能に関する検査(ウィスコンシン・カード・ソーティングテスト、遂行機能障害症候群の行動評価)
    前頭葉に障害がないかを確認する検査である。
  5. 人格特性評価法(ロールシャッハテスト、TAT、谷田部・儀留フォードテスト、ミネソタ多面的人格目録)
    人格の変化がおきていないか、行動異常がおきていないか等について行うテストである。 これらの検査は、高次脳機能障害を判定する際の有効な手段であり、高次脳機能障害の程度を図るうえでは有用なものであるのである。

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高次脳機能障害に関する問題点

高次脳機能障害では、時効期間、因果関係、素因減額、介護費用、逸失利益、後遺症慰藉料、近親者慰謝料等で問題となることが多く、その点についての判例を紹介します。
  1. 時効期間
    民法724条は不法行為による損害賠償請求権の消滅時効の期間を、「損害及び加害者を知りたる時3年」とし、後遺障害の消滅時効の起算点については原則として症状固定時(大阪地裁平成13年12月26日判決)より3年とする。高次脳機能障害も同様に解されるため、症状との関係でいえば、高次脳機能障害であっても、2年程度は回復の見込みがあるため、事故日から2年程度が症状固定日と考えられ(具体的には診断書の症状固定日の日)、その日から3年という考え方になると思われる。

    しかし、高次脳機能障害により、本人が損害賠償請求権を行使できないような状態の場合は、近親者が成年後見制度で後見人に選任された場合は、時効期間を途過していても、法定代理人が欠如している場合の本人保護の法理により、後見人の選任日より半年以内に権利行使をすることを条件に権利行使が可能となるものと考えられる。
  2. 因果関係・素因減額
    事故から長期間経過した後に精神的異常状態が出た場合や、高齢者が事故直後あるいは事故から長期間経過したなかで痴呆(認知症)が発症・増悪した場合には、交通事故と高次脳機能障害との因果関係や素因減額の可能性の問題が生じます。

    事故から25日目に初めて脳幹出血が認められ事案で、事故前は通常の生活をしていたこと、事故時に身体に大きな衝撃を受けたこと、事故当日に頭痛や圧迫感を医師に訴えていたことから、交通事故と脳幹出血の因果関係を認めたが、3割を素因減額された判例。

    事故当時81歳の男性が、交通事故により頭部外傷を負い、これにより痴呆が発症した後に、その後にこの交通事故の長期入院によりアルツハイマー型老年痴呆症を併発し、より重度の痴呆状態に陥った事案で、因果関係は認めたものの、被害者が高齢であること、事故により直接生じたものでないことから2割の素因減額を認めた判例。
  3. 介護費用
    目安として近親者付添人は1日につき8000円、職業付添人は実費全額であるが、介護の具体的状況により増減する。被害者の症状、近親者の介護の可能性、公的援助受給の可能性などを詳細に見当し、被害者に対し誰がどの程度の介護を行う必要があるか、その費用としてどの程度を計上するのが妥当かを詳細に認定するのが判例の傾向であるため、この点について被害者の方で十分な主張・立証を行う必要がある。

    高次脳機能障害(1級)の被害者について、介護保険サービスの単位により、職業介護の日額を2万5392円とし、平日・土曜日の夜間の長男の介護費用を4000円、日曜日は8000円と認めた判例。

    高次脳機能障害(1級)で排泄障害、四肢完全麻痺の被害者について、父が67歳までは近親者2名の介護が必要であるとして日額1万2000円を認め、以降は職業付添人が必要であるが、体の大きさから補助者が必要であるとして日額2万円を認めた判例

    高次脳機能障害(3級)の被害者について、その状態から常時の付添は必要ではないが、定期的な看視が必要なため、近親者が常時、自宅に待機しなくてはならないとして日額6000円を認めた判決
  4. 逸失利益
    2009年度赤本基準では、1級1号(100パーセント)、3級3号(100パーセント)、5級2号(79パーセント)、7級4号(56パーセント)、9級10号(35パーセント)であるが、被害者の具体的症状を詳細に認定し、それ以上の損害を認める場合があるので、被害者として積極的に被害者の具体的症状と就労の可能性について主張をするべきである。

    高次脳機能障害(5級)の被害者について、事故後に稼働収入について福祉的要素が強いものとして、被害者に79パーセントの労働能力喪失を認めた判例

    高次脳機能障害による知能・運動能力の低下(5級)が認められた被害者について、定時制高校に通っているが、100パーセントの労働能力喪失を認めた判例

    会社員で高次脳機能障害(併合6級)と自賠責で認定された事案で、基礎収入は賃金センサス女性全年齢平均として6級(67パーセント)と5級(79パーセント)の中間である75パーセントの労働能力喪失が認められた判例
  5. 後遺症慰藉料(本人)、近親者慰謝料
    2009年度赤本基準では、1級1号(2800万円)、3級3号(1990万円)、5級2号(1400万円)、7級4号(1000万円)、9級10号(690万円)であるが、下記のとおり下記のとおり、標準よりも多額の慰謝料を認めた例がある。

    独身の会社員の高次脳機能障害等(1級)と一眼摘出(併合1級)の事案で、被害者が生死の境をさまよう手術を複数回受けたこと、被害者が若いこと、両親の介護の精神的負担が極めて重い事などから、本人後遺症慰藉料3200万円、父母各400万円を認めた判例

    高校生の男子(男・固定時19歳)の高次脳機能障害(5級2号)について、本人後遺症慰藉料として1600万円を認めた判決

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頭痛の後遺障害

頭痛の後遺障害について

頭痛については、その原因はさまざまであるが、平成15年労災改正により次のとおりの取扱がなされる。
頭痛については、頭痛の型の如何に関わらず、疼痛による労働又は日常生活上の支障の程度を疼痛の部位、性状、強度、頻度、持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見により把握し、障害等級を認定すること
(ア)「通常の労務に服することはできるが激しい頭痛により、時には労務に従事することができなくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は第9級の7の2に該当する。
(イ)「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛がおこるもの」は第12級の12に該当する。
(ウ)「通常の労務に服することはできるが、頭痛が頻回に発現しやすくなったもの」は、第14級の9に該当する。

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頭痛の後遺障害の等級について

頭痛については、自賠責実務においては、次のとおり3つの等級認定を行う。
  1. 「神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が層とうな程度に制限されるもの」(9級10号)
    ※他覚的所見の他に、脳や脊髄などお中枢神経の異常に基づくことが必要。
  2. 「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)
    ※他覚的に神経系統の障害が証明されるものであることが必要
  3. 「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)
    ※医学的に説明可能なもの、すなわち現在存在する症状が、事故により生じた異常によって発生していると説明可能であって、他覚的所見と自覚症状と整合性が必要である。

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頭痛の問題点

頭痛自体は、事故により単独でおこることは少なく、主に頭部外傷や、いわゆるむちうちの問題として、他の後遺障害に包含されることが多く、頭痛が単独で問題になることは少ないが、事故による「心因性の頭痛」や「原因不明の頭痛」「低髄液圧症候群」などが問題になる。

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遅延性意識障害

当法律事務所の対応

遷延性意識障害は、通常、保険会社より示される示談案は低額なことが多く、訴訟になるケースが多いです。当法律事務所では、遷延性意識障害の事案に注力しており、係争となる点(将来介護費用、後遺症慰藉料、近親者慰謝料、後遺症逸失利益、生活費控除率)について豊富な知識と丁寧緻密な立証をもとに、被害者の精神的・経済的損害の回復に努めております。

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遷延性意識障害について

日本脳神経外科学会の定義(1976年)によると、遷延性意識障害(いわゆる「植物状態」)とは、次のとおりとされています。
  1. 自力移動が不可能である。
  2. 自力摂取が不可能である。
  3. 糞・尿失禁がある。
  4. 眼球は動いていても認識することはできない。
  5. 簡単な命令には辛うじて応じることはできるが、ほとんど意思疎通は不可能である。
  6. 声を出しても意味のある発語が全く不可能である。
以上の6項目が治療にも関わらず、3ヶ月以上続いた場合

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遷延性意識障害の問題点と判例について

遷延性意識障害については、将来介護費用、将来雑費、後遺症逸失利益、生活費控除率、本人及び近親者の慰謝料請求権等について争いになります。

なお遷延性意識障害の場合、本人に行為能力がないため、成年後見制度により近親者が成年後見人となり、弁護士に委任して保険会社と交渉・訴訟を行うことになります。
  1. 将来介護費用
    目安としては、職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8000円である。しかし、相手方からは、遷延性意識障害の患者の平均余命は10年程度であるなどとして通常人の平均余命より限定しようとする主張がなされることが多いですが、平均余命まで認める判例が多数あります。また介護費用について判例は、被害者の状態、近親者介護の可能性等を詳細に検討して、どのような介護が必要か、誰が介護を負担するか等を緻密に検討しますので、被害者の側では、被害者の介護の必要性、介護を誰が行うか、幾らを介護費用とするのか相当かについて緻密で丁寧な立証が必要になります。

    四肢完全麻痺、遷延性意識障害(1級1号)の被害者(男・17歳)につき、1日に少なくとも7,8回のおむつ交換、2時間おきの体位交換、吸引、入浴、訓練などの常時介護(自宅介護)を要し、1人では困難な介護もあるとして、母親が67歳になるまでは年365日のうち平日240日は職業介護人と近親者で日額1万8000円、土日祝日の125日は近親者で日額1万円、母親が67歳を過ぎてからは以降の日をを職業介護人が行うとして日額1万8000円を認めた例

    遷延性意識障害(1級1号)の会社員(女・固定時26歳)について、医療設備の現在の整備状態では、費用が高くなるとしても医療機関より在宅介護を選択することはやむをえず、24時間の介護及び2人の人手が必要であるとして、被害者の母親が67歳になるまでは、年間240日は日額2万円(母親が8000円で、職業介護人が1万2000円)、125日間は日額1万5000円(父母による介護)、母親が67歳を過ぎた以降は、職業付添人2名の介護費用として日額2万円を認めた例
  2. 将来雑費
    将来雑費を請求する場合は、平均余命までに必要な全ての雑費(おむつ、ティシュ、車椅子、尿カテーテル)を抜き出し、それにかかる費用を月単位や年単位でまとめる必要がある。なお既に支出したものについては、レシートで立証し、まだ支出のなされていないものについては見積もりなどに計算をするようにする。

    蔓延性意識障害、四肢完全麻痺(1級3号)の被害者(男・固定時38歳)について、 おむつ、ティッシュ、気管切開チューブなどの1年間分の費用127万9134円のうち、その7割が本件事故と因果関係があるとして約7割の年額90万円を認めた例
  3. 生活費控除率
    遷延性意識障害の被害者は、通常の被害者のように社会生活を送るわけではないから、衣服、娯楽、食費(食費は流動食として治療費に含まれる)は不要であるという主張を受けることがある。

    しかし多数の判例はこれを否定しるものであるから、そのような主張に対してはこれを否定する多数の判例を提出して対応します。
  4. 本人及び近親者の慰謝料請求権
    遷延性意識障害の場合は、後遺障害等級1級に該当し目安として2800万円が標準的な慰謝料となります。

    より多額の後遺症慰藉料が認められる場合は、本人が受けた苦しみと近親者の受ける苦しみなどについて丁寧な立証(陳述書など)が必要となります。

    遷延性意識障害(1級3号)の短大生(女・18歳)につき、傷害慰謝料として500万円の他に本人後遺症慰藉料として3000万円、その父母に弱300万円の合計3600万円の後遺症慰藉料を認めた例

    遷延性意識障害(1級1号)の会社員(女・固定時26歳)につき、何の落ち度もなく1日24時間の介護を受けない限り生命を維持し難い悲惨な境遇に置かれ、仕事や家庭生活を営む幸せを奪われた事から、傷害分400万円の他に本人分3000万円、介護に人生の大半を費やす父母に各300万円の合計3600万円の後遺症慰藉料を認めた例
  5. 逸失利益
    逸失利益について、被害者が職業についていた場合には、保険会社からは症状固定時より10年間程度は後遺症逸失利益として計算し、その後は死亡逸失利益として計算すべきであるという主張をなされることがありますが、平均余命までを認める多数の判例がありまので、これらの判例を提出して平均余命までの逸失利益を主張します。また無職の場合には、本人の稼働歴・学歴・稼働意欲、家族の稼働歴などを主張したり、若年の女子の場合には若年女子の男性平均年収取得の可能性を述べ、男性平均賃金センサスを主張したり、確定申告をしていない自営業については収入状況・生活状況を調べて平均賃金センサスの相当額を主張するなど、逸失利益を大幅に増額させる工夫をする必要があります。

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RSDなどの特殊の頭痛の後遺障害

RSDなどの特殊疼痛について

症状固定後に疼痛が存在することは珍しくないが、自賠責保険上、特殊な疼痛として位置づけされるのが、カウザルギー、RSD、CRPS、繊維筋痛症である。

カウザルギーとは、外傷性の神経損傷によって発生する灼熱痛、非有害刺激で正常な皮膚におこる疼痛であるアロデニア(allodynia)及び痛覚異常過敏である。 RSDとは、反射性交換神経性ジストロフィーという激烈な疼痛を伴う障害状態のことである。

近時は、RSDの名称が必ずしも病態を反映していないとしてCRPSとして「複合性局所疼痛症候群」として定義されている。

1996年より、RSDがCRPSのtypeⅠ、カウザルギーがCRPSのtypeⅡ と定義されている。

また近時注目されている特殊な疼痛としては、繊維筋痛症がある。

繊維筋痛症は、圧痛以外の他の他覚的所見がないにもかかわらず、前進に疼痛をきたす疾患である。

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特殊な疼痛に対する自賠責後遺障害等級の認定について

上記の特殊な疼痛は、平成15年8月8日の厚生労働省労働基準局長の通達により、次の自賠責「7級4号、9級10号、12級13号が適用される。

  • 7級4号:軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの。
  • 9級10号:軽易な労務に服することができるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、 就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの。
  • 12級13号:通常の労務に服することができるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの

■カウザルギーの認定は、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間および日内変動ならびに疼痛の原因となる他覚的所見などにより、労働能力に及ぼす影響を判断して等級認定が行われる。

■反射性交換神経性ジストロフィー(RSD)については①関節拘縮②骨の萎縮③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つのいずれの症状も腱側と比較して明らかに認められる場合に限り、労働能力に及ぼす影響を判断して等級認定が行われる

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RSDなど特殊な疼痛に関する問題点について

カウザルキー、RSD(複合性局所疼痛症候群)、CRPS(反射性交換神経性ジストロフィー)、繊維筋痛症のいずれについても、裁判上は、被害者にそのような症状が医学的に認められるかという点で争いとなることが多い。

また被害者に医学的に症状が認められた場合にも、事故との因果関係や心因性による素因減額などの問題がある。
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